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【実体験】接岨湖でカヤック転覆…奥大井レインボーブリッジの絶景と命を救われた一日

まずは動画をご覧ください。

2025年11月17日(月)

静岡県川根本町にある接岨湖(せっそこ)へカヤックを持ち込んで行ってきました。

接岨湖と聞いてもピンと来ない方が多いかもしれません。

しかし「奥大井湖上駅」と聞けばご存じの方も多いのではないでしょうか。

エメラルドグリーンの湖に浮かぶように見える湖上駅と、奥大井レインボーブリッジ(湖上鉄橋)は全国的にも有名な絶景スポットです。

今回はその橋の下をカヤックで漕ぐことを目的に訪れました。

ところが、この日は後に一生忘れることのできない出来事が起きることになります。

湖上駅と、奥大井レインボーブリッジ
レインボーブリッジをカヤックで潜る

接岨湖でカヤックをするには湖面利用届が必要

接岨湖は長島ダム管理所が管理しており、カヤックやSUPで利用する場合は湖面利用届の提出が必要です。

そうするとチェーンを外す鍵を渡されます。

この日は管理所の開館前に到着したため、まずは湖畔で朝日を眺めながら時間を過ごしました。

朝日に照らされた湖面は鏡のよう。

紅葉も始まっていて、まさに絶景でした。

利用時間や鍵の貸与時間は平日と休日で異なる場合があります。

訪問前には長島ダム管理所へ確認することをおすすめします。

長島ダム管理所
湖面利用届を提出すると借りられる鍵
朝日と接祖湖

出艇場所は奥大井接岨湖カヌー競技場

出艇場所は奥大井接岨湖カヌー競技場。

長島ダム管理所からトンネルを抜けるとすぐ右側に入口があります。

トイレもあり利用しやすい場所です。

当初はチェーンの手前からカヤックを運ぶつもりでしたが、そこで川根高校カヌー部の先生が声を掛けてくださいました。

「車で下まで行けますよ」

この一言がどれほどありがたかったことか。

カヤックを担いで歩くのと、車で下まで行けるのとでは大違いです。

この日はオープンキャンパスの振替休日とのことで、生徒さんたちは朝から練習していました。

そして実は、この時の出会いが後に私たちの命を救うことになります。

トイレ
出艇地

穏やかな湖面と最高のコンディション

前日は天候が今ひとつだったため、一日待ってこの日の出艇となりました。

予報では午前中ほぼ無風。

午後も西風3m程度。

普段なら特に気にしない予報です。

湖面は驚くほど穏やかで、波一つありません。

周囲の山々と紅葉が湖面に映り込み、まるで絵画の中を進んでいるようでした。

SUPの方は数人いましたが、奥大井レインボーブリッジ方面へ向かう人はいません。

私たちは静かな湖をゆっくり進みました。

乗出し

奥大井レインボーブリッジをカヤックで潜る

接岨湖は複雑に蛇行しているため、レインボーブリッジはなかなか見えてきません。

岬のように張り出した地形を何度も回り込みながら進みます。

蛇行している接祖湖

そしてついに現れた奥大井レインボーブリッジ。

展望台から見下ろす景色は有名ですが、水面から見上げる橋はまた格別です。

多くのカヤッカーやSUP愛好家が憧れる理由がよく分かります。

ちょうどその時、列車がやってきました。

橋の上をゆっくり走る列車。

観光客の皆さんがこちらに気付き、手を振ってくれます。

私たちも思わず手を振り返しました。

これも接岨湖ならではの特別な時間です。

手を振る乗客

湖上からしか見られない景色

橋をくぐりさらに奥へ進みます。

小さな岩。

立ち枯れた木々。

紅葉に彩られた湖畔。

そして小さな滝。

滝の水音だけが静かに響きます。

湖上からしかたどり着けない景色。

つい時間を忘れて見入ってしまいました。

接祖湖の紅葉
岩と立ち枯れた木々
滝

異変は突然やってきた

帰路につき、途中で少し早めの昼食をとりました。

そして再び漕ぎ始めた直後でした。

突然、風が吹き始めたのです。

紅葉した木々の葉が一斉に舞い上がり、湖面へ降り注ぎます。

最初は一時的な風だと思いました。

しかし風は止まりません。

むしろどんどん強くなっていきます。

何かがおかしい。

そう感じ始めました。

突風で落ち葉が舞う

転覆

私たちは湖の中央付近にいました。

右岸へ寄ろうと必死に漕ぎます。

しかし全く進みません。

波は四方八方から押し寄せてきます。

一定方向の波なら対応できます。

しかしこの日の波は違いました。

湖面全体が暴れているようでした。

そしてついにカヤックは転覆。

冷たい湖へ投げ出されました。

ライフジャケットは着用していました。

しかしパドル、靴、上着、スマートフォン、アクションカメラ。

次々と流されていきました。

転覆地点
波のイメージ
転覆時イメージ

崖に追い詰められる

カヤックを起こそうとしても波が強く不可能。

私たちは転覆したカヤックを押しながら岸を目指しました。

ようやくたどり着いた岸。

しかしそこは断崖でした。

足を掛けるたびに崩れる脆い岩肌。

上へ登ることは到底不可能です。

再出艇しても再び転覆するだけ。

逃げ場はありませんでした。

11月中旬の湖水は冷たく、体温は少しずつ奪われていきます。

崖岸までたどり着くイメージ

奇跡の救助

その時でした。

遠くから声が聞こえます。

「大丈夫ですか!」

見ると一艘のボートがこちらへ向かってきました。

信じられませんでした。

近付いてきたのは、朝お会いした川根高校カヌー部の先生方でした。

先生方は西風3m予報を見ると、この湖では10m以上の強風になることを経験的に知っていたそうです。

そして、

「あの人たちは絶対に戻れなくなる」

そう判断して救助に来てくださったのです。

私たちにとって、まさに命の恩人でした。

川根高校の先生が救助に来てくれたイメージ

命を救われた瞬間

先生方は私たちを救助しただけではありません。

散乱した荷物を回収し、カヤックを曳航し、出艇地まで運んでくださいました。

その帰り道ですら風と波は凄まじく、先生方もびしょ濡れでした。

出艇地へ戻ると部室を開け、ジェットヒーターで身体を温めてくださいました。

さらにカヤックまで運んでくださいました。

感謝してもしきれません。


翌日改めてお礼へ

その日のうちに学校へお礼に伺いましたが、振替休日のため誰もいませんでした。

翌朝改めて訪問すると、

「昨日、接岨湖で転覆した方ですか?」

と事務の方に声を掛けられました。

朝の職員会議でも話題になっていたそうです。

それほど大変な出来事だったのだと改めて実感しました。

川根高校カヌー部

自然の怖さと人の優しさ

もしこの日が振替休日でなかったら。

もしカヌー部の朝練習がなかったら。

もし朝お会いしていなかったら。

そして先生方が気に掛けてくださらなかったら。

私たちはどうなっていたでしょう。

自然の怖さを知った一日。

そして同時に、人の優しさに救われた一日でもありました。

To先生、Tu先生。

本当にありがとうございました。


接岨湖でカヤックをする方へ

接岨湖は本当に素晴らしいフィールドです。

奥大井レインボーブリッジを水上から眺める景色は感動そのものです。

しかし自然は一瞬で表情を変えます。

今回の経験からお伝えしたいことは一つ。

「西風3m予報を甘く見てはいけない」

ということです。

私たちは今も、あの日の感謝を忘れることができません。

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「日本絶景カヤックガイド」

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